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◆プロパン産業新聞 2008年6月3日・第2409号
提言 [商権売買の変化]
「商権スワップの時代」高コストのリスク回避
 関東を中心に、低料金で顧客を勧誘する、いわゆる“瓶倒し”なる言葉が蔓延した時代があった。もちろん現在でもブローカーと呼ばれる、勧誘専門の業者が、関東、とくに北関東で顧客先を回っているが、次第に市場から姿を消し始めている。
 その背景は、勧誘された顧客を買収する側のメリットが薄れてきたことと、CP高騰などによるコスト圧迫が理由と言われている。例えば、ブローカーが、他の業者が供給する顧客を勧誘する際には当然、料金を引き下げて提示するが、これをブローカーから買い取る事業者は、コストに見合った料金体系に徐々に戻すようになる。
 すると、その値戻しを見計らって、再びブローカーがその顧客を切り替える。こうしたイタチごっこに業を煮やした買い取り業者が、ブローカーと手を切るというケースが出てきたというものだ。しかも、切り替える顧客は条件(消費量が高いなど)が良いところほど狙われる。
 CPが高騰してきたことで、顧客は低料金に飛びつきそうだが、切り替えた顧客を買い取る側も、コストの問題から、おいそれと抱え込めない事情もある。「割に合わない」のである。
 かつて商権買収を積極的に進めた大手事業者の間では最近、戦略転換し、それぞれの地域に強い事業者間で「顧客をそっくり交換する」という方法を採用し始めた。“交換”といっても、“商権の売買”である。売った顧客は売却益をもたらし、買った顧客は5年償却で5年間償却していくから、売買は当然利益を出す。この方法だと、経営の効率化がもたらされるということのようだ。
 販売店1軒、1軒回って商権を買収する時代から、エリア内のテリトリーをそっくり交換するという「商権スワップ」が注目されるのも、より効率的な経営を目指しているということだ。
 それと同じことに、充填所の共同運営、配送・保安の共同化も進んでいる。LPガス業界の構造改善事業の一つである、充填所の統廃合はあまり成果が上がっていないが、共同充填は静かに進んでいる。充填所の運営コストが割に合わないため、充填所を持たずに委託した方がソロバン勘定は良いというわけだ。
 もちろん、LPガスの需要が右肩上がりから、横ばいないし右肩下がりの状況が懸念されるということもある。しかし、ブローカーなどを介して顧客を買収する“うまみ”が薄れてきたことと同様に、高コストの経営体質を改善しようという動きが高まってきたことだけは確かなようだ。(詳細はプロパン産業新聞2008年6月3日付で)
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