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◆プロパン産業新聞 2008年4月22日・第2403号
提言 [アクア事業]
ガス外事業の“域を超す“宅配販路は本業での“絆“
 LPガス業界における水事業が、一段と熱を帯びてきた。いわゆるガス外商品としての“水”の製造・宅配事業であるが、この3月31日に「TOKAIアクア焼津工場」が竣工したのに続き、4月20日には河野商事・コウノウォーターの山中湖ファクトリー増設工事が完成した。また、昨年11月には千葉ガスがアクアクララ千葉の佐倉工場を建設している。水製造工場の建設ラッシュは、LPガス業界におけるアクア事業の拡大を物語っており、「ガス外」という範疇から「ガスとの両立」による事業へと変わりつつあるといえる。
 このアクア事業で先駆的な役割を果たし、全国67社のアクアクララパートナー(AP)を持つアクアクララ(東京、赤津裕次郎社長)は、サーバー契約者数が全国で26万件を超え、工場も全国62カ所に達している。その販売数量は年間840万本(平成19年9月末実績)。19年度はボトル出荷数で1000万本を目標にしているというからすごい。
 これに続くのがトーエル(横浜市、平間茂社長)で、14年5月に輸入・販売を開始したハワイウォーターに続き、長野県大町市に北アルプスを水源にしたピュアウォーター「アルピナ」の製造工場を建設、年間300万本体制を整えた。しかし、OEM供給も含め早くも生産能力に余裕がなくなると踏んだ同社は、第3の水源地を南アルプスに求め山梨県に工場建設用地を確保している。3年後には年間800万本の計画だという。
 昨年9月には、システムアンドリサーチ(横浜市、高橋武夫社長=SR)と、ウォーターダイレクト(東京、栗井秀朗社長=WD)が、WD提供の「富士の銘水クリティア25」のLPガス業界向け営業をSRが行うことで業務提携し、SRがクリティア販売代理店向けの専用販売管理システム「クリティア・サーチアス」を構築・提供するという形で名乗りを上げた。
 このほかにも、岩谷産業やミツウロコなどが水事業で大きな成果をあげているほか、代理店になって各社のアクア製品を販売する大手卸が続々と参画してきている。
 水事業が興隆しつつあるのは、背景に環境問題や食品の安全性、あるいは健康管理などがある。水には、リラックス効果やストレス解消効果、疲労回復効果、癒し効果などがあるとされる。LPガス業界がウォーター事業で着実な業績を上げ始めたのは、宅配という物流システムが似ているということもある。もちろんガスと水では、同じ宅配でも異質な部分がある。ガスは供給から消費までの細かな法規制や保安管理が必要で、水は同じセキュリティ面でも品質・安全管理が重要となる。
 ただ、ウォータービジネスは、利益率が高い。ある会社の収益シミュレーションによると、取扱い販売店の収益は月間1件当たり500円のマージン、これに顧客1000件を獲得した場合、12カ月で600万円を手にすることができるという。事実、神奈川のあるLPガス販売店は顧客約2000件だが、販売手数料が約10万5000円/月で、年間1260万円の収益を上げた。
 しかも、顧客への営業から宅配はすべてウォーター事業会社が行うというシステムである。こうなるとガス外事業という“副業”の域になく、立派な収益事業になる。
 ただし、その顧客基盤は、長年のLPガス販売で培ったお客さまとの接点であり、また信頼関係にあると助言しておきたい。(詳細はプロパン産業新聞2008年4月22日付で)
◆プロパン産業新聞 2008年4月15日・第2402号
提言 [インセンティブ]
集中監視普及のネック改善し認定事業者優遇を
 LPガスの集中監視システムが誕生して、かれこれ26〜27年間が経過した。早くも四半世紀である。1982年(昭和62年)にマイコンメータが一斉発売されてから今日まで、電話回線を利用した片方向システムから、双方向システムへ、さらには携帯電話や無線方式といった新しい通信機器の発達とともに、そのシステムの対応を図りながら、LPガス利用先の計測管理や、安全管理の機械化を図ってきた。
 もとはといえば、「ガス切れ防止」が主眼の配送センター化構想が、一部の先進的な事業者によって取り組まれ、コンピュータ管理で配送予測や検針伝票・請求書の作成が行われ、後の集中監視システムの基盤を作ってきた。そこから一歩踏み込んで集中監視システムの概念が具体化したのは、やはりマイコンメータの誕生に負うところが大きい。
 しかし、その集中監視システムは現在、全国2500万世帯のうち、約32%の800万世帯で導入されているが、なかなか普及テンポは上がらない。その理由はさまざまだが、システム上の問題点はその都度、ハード、ソフトメーカーが対応し、問題解決で乗り越えて来ている。
 しかし、平成9年の改正液石法施行以降、積極的に集中監視システムを導入してきた販売事業者の側に、意欲を削ぐ事態が生まれている。
 そのひとつは、認定販売事業者制度の認定要件である。認定販売事業者制度は、一定以上の保安レベルにある販売事業者について、行政庁が認定したうえで、法律適用面で規制の緩和措置を講じる制度。一般に「インセンティブ規制」と呼ばれるもので、具体的には「業務主任者の選任数の軽減」「法定の調査・点検の周期延長」「緊急時対応の範囲拡大」の3点に集約される。
 問題は、その認定要件がS型保安ガスメータを設置し、双方向集中監視システムを設置することという規定がある点。S型メータは今日、ほとんど導入されており、問題となる支障はないが、集中監視システムについては平成16年度以降、全顧客の70%以上に設置していることが要件になっている。
 この要件が厳しすぎて、せっかく認定販売事業者の資格を取得した事業者のなかから、70%維持が困難で資格返上する事業者が相次いだ。インセンティブが物足りないとかいう以前に、現実的に認定要件を満たせない事業者が続出している。あと3割の顧客が集中監視設置を拒否、または他の要因であるオール電化切替えとか“瓶倒し”という脅威を理由に設置できないようだ。
 そこでまず「認定販売事業者」にとって、努力の証しとなる、他社と差別化できる根拠、すなわち「保安レベルが高い」という自負心を高める改善策を求めたい。その一例が、改正法で同時に制度化された「認定保安機関」の称号である。一般消費者に混同されがちで、認定保安機関が一定以上の保安レベルのある事業者と受け止められる傾向がある。どちらかから「認定」という称号を変更する必要があるのではないか。それと、インセンティブの中身をもっと優遇すること。また、今でも設置されている片方向システムも、集中監視の設置率に含めることなどを行政庁で検討してもらいたい。(詳細はプロパン産業新聞2008年4月15日付で)
◆プロパン産業新聞 2008年4月8日・第2401号
提言 [燃転時代]
重油コジェネ相次ぎ中止 ガスへ燃転の可能性探れ
 原油高騰の影響がジワジワと産業界に広がっている。米国WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油が3月13日にNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル証券取引所)の先物市場で、1バーレル110・33jの高値を付けた。その後FRB(米連邦準備制度理事会)による追加利下げなどから反発し、3月24日、2週間ぶりに100j割れを記録した
 問題は、こうした原油価格の高騰が産業界など多方面に大きな影響を及ぼし始めたことにある。その一例が、重油によるコジェネレーションシステム(熱電併給システム)を導入し、自家発電で電力需要を賄ってきた大口ユーザーの、自家発電取り止めの動きだ。
 電力10社によれば、04年〜07年度(07年度は12月まで、関西電力は10月まで)の4年間で、自家発電から買電への切り替えが3800件に達したという。最も多かったのは06年度で2032件、約191万`h。この時は、原油高で自家発電代行の大手、エネサーブ(大阪)が同事業から撤退した影響が大きかったようだが、その後も自家発電量は年々減少傾向にある。
 資源エネ庁によれば、04年度の自家発電による消費電力量は1億3105万`h。これが06年度には1億2120万`h、07年上半期も5914万`hに止まり、通年でも06年度を下回る見通しだという。
 もともと、買電より重油を調達して自家発電する方が、電気代が安くつくとして広まったコジェネだが、原油価格が上昇するに伴い、そろばん勘定が合わなくなってきたのが真相である。
 イトーヨーカ堂は全国9店舗で重油によるコジェネで自家発電を導入したが、燃料高騰から06年に1店舗を東電からの買電に切り替えた。北海道のスーパーチェーンも8店舗すべてを、07年までに北海道電力からの買電に切り替えている。昨年11月には三重県鳥羽市の老舗旅館戸田屋も断念したという。戸田屋は総工費2億1000万円を投じて重油コジェネによる自家発電を行ってきたが、赤字負担のため中部電力からの買電に切り替えた。
 そこで提案である。原油高騰はLPガスのCP価格高騰にもつながっているが、それでも大口工業用ユーザーなどの間では、環境対策も背景にして、重油など石油製品からの燃料転換が進み始めている。LNGへの転換もあれば、そのLNGからのLPガスへの転換といったさまざまな燃転だ。LNGサテライト供給はローリで消費先のユーザー施設にLNGを運び込む方法。LPガスのバルク供給に似た方法だが、割安感のあるLNGへの燃転は仕入コストの差が選択の理由。
 しかし、そのLNGからLPガスへの転換も出始めている。その理由は中長期のエネルギー事情で、2年先には中東産LPガスの大幅な増産が期待され、安定供給と価格安定が見込まれること、さらにLNGが契約更改期に入っており、15〜20年といった長期供給契約が望めなくなりつつあること、しかも価格が上昇し始めていることなどがある。
 LPガス業界は新しい“燃転”の時代に向けて、産業用ユーザーの動向をしっかり見据えた戦略を立てる時が来たといえよう。(詳細はプロパン産業新聞2008年4月8日付で)
◆プロパン産業新聞 2008年4月1日・第2400号
提言 [商売の原点]
顔が見えるガス屋さん 今こそ顧客と対話を
 昨年からLPガスの小売料金を2、3回改定値上げした販売事業者が大半である。例えば、従量料金を1立方b当たり40円と50円、二度にわたって値上げしたという販売事業者もいる。全国的に大体80円から90円を2〜3回に分けて値上げしているケースがほとんどである。
 原油高騰に伴うLPGの輸入価格は、昨年10月から連続4カ月間値上がりし、プロパンが今年1月度までに昨年9月度比でトン当たり340jも上昇した。2月は70j値下がりしたが、3月には再び20j値上げされ820jとなり、依然として昨年9月より260jの高値水準で推移している。
 この輸入価格の高騰については、元売りがCPリンク制度の導入を決めいち早く対応し、卸・小売段階へのCPリンクによる原料費調整システムの採用を呼びかけて、現在に至っている。流通段階でのコスト転嫁は比較的スムーズにいったが、末端の小売料金の改定は毎月というわけにもいかず、2〜3回に分けた値上げを実施している。
 第一次オイルショックの翌年、昭和49年には狂乱物価という経済混乱があり、トイレットペーパーに主婦が群がる社会現象も起きた。この時と今では、社会情勢が異なる。すでに米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げつき問題に端を発した世界的な株価下落、原油の高騰など、消費者には十分過ぎるほどの情報が行き渡っており、LPガスの値上げも「止むを得ない」ものと受け止められている。
 ガソリンや灯油は、買い控えという手段で対抗しているが、LPガスや都市ガスはそこまで対抗していないようだ。事実、都市ガスは昨年12月の家庭用販売量が前年同期比4・4%増、今年1月が同1・5%増と増加ペースで推移している。この期間の気温が前年同期より低かったことが要因としながらも、買い控えの兆候は見られない。LPガスの家庭用販売数量は、日本LPガス協会の速報ベースで見ると、昨年10月が前年同期比11・1%増、11月は同32・4%増と伸びているが、12月には同4・1%減、今年1月は同1・43%減と減退傾向を見せ始めている。……(詳細はプロパン産業新聞2008年4月1日付で)
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